旅の楽しみのひとつに人々とのふれあい、ということがあります。
団体旅行と個人旅行ではどのようなふれあいが可能なのでしょうか。
団体旅行の場合は同じ団体への参加者同士の交流がメインとなると
思います。旅先でのふれあいと言えば現地に住む人々との交流が
イメージされますが、実際にはかなり内向きに仲間うちでのおつき
あいに終始するのが現実です。出発から時間が経つにつれバスの中や
食事の時などに声をかけあったりして親しくなってゆきます。少し
打ち解けてから必ず始まるのがお互いの旅行履歴の交換、簡単に言
えば自慢話です。それでも和やかなうちに親睦が進んでゆきます。
これは思うにある団体旅行に申し込む参加者たちは、ほぼ同じ
経済レベルにある人たち、という仮説が成り立つからではないかと
思われます。自慢話しになったとしてもそれほど旅行経験の量や
質に差が無いので気まずくなることが余りないのだと思われます。
いわゆる富裕層を対象とした一人数百万円もする豪華クルーズツアー
に参加するような旅客は、もはや新聞広告などで募集する旅行には
参加しないのだと思います。そのような旅行層には大手旅行会社が
専用の店舗を展開する時代になっています。話しが少し逸れてしまい
ました。団体旅行の参加者同士の交流ですが、それはあくまでも
旅行中だけのことであり、よほどのことがない限り、旅行帰着後
にもおつきあいが続くことはありません。いわゆる淡交、淡い
交わりであってその場限りのものとなります。ところが人によっては
このような淡いふれあいさえ億劫に思える人もいます。もちろん
それはそれで構わないわけで、お金を払って参加した旅行で無理に
お付き合いなどする必要はありません。団体旅行で参加者同士以外
とのふれあいとなれば、この団体の周囲で旅行の進行に携わって
いる人たち、具体的には添乗員、ガイド、ドライバー、ホテルスタッフ、
レストランやショッピングのスタッフなどが該当します。しかし
実際には朝晩の挨拶と簡単な実務上のやりとりぐらいが関の山です
一方個人旅行の場合、代理をしてくれる人はいないわけですから
交通機関をはじめホテルや見学地、ショッピングやレストランなどの
スタッフとはすべて直接交渉せざるを得ません。しかし当然ながらこれらの
関係は全て事務的なものであり、ふれあいと言えるほどのものでは
ありません。もちろん例外もあるとは思いますが。しかしこうした旅程
上必須の関わりではない部分でふれあいを求めるとするなら、特に
海外の場合だと危険が背中合わせにあることも考えなければなりません。
早い話し海外でむこうから親しげに近づいてくる人物はほぼ100%下心
があると見なければなりません。個人旅行における自己責任という概念は
こういうレベルでもつきまといます。
こうしてみると「現地の人とのふれあい」は、団体旅行であれ個人旅行で
あれそれほど簡単ではないことがわかります。次回はそこをどう打開しながら
より思い出深い旅にするための方法を考えたいと思います