観光庁と厚生労働省は最近注目されだした民泊について検討し、早ければ来年
夏ごろには報告書をまとめる。

自宅の一部やマンションの空室を活用して宿泊サービスを提供する民泊は昨年
旅館業法の適用除外となる特区を設定できる法が施行され、東京都大田区などが
その実現に向けて取り組み中だ。

現在の民泊の実体として、大都市における宿泊客室数の絶対的不足という事情を背景に、
そうした状況を補完する形で近年伸張してきた。2020年の東京五輪に向けて供給
不足は更に悪化するとの見込みなのだが、それは当然訪日外国人旅客の爆発的な増加が
もたらすものと考えられている。

しかしその一方で中国経済の減速を警戒して、ホテルなどのハコモノを新設しようという動きには
躊躇が見られるようだ。その間隙を民泊が埋めてゆくという構造が想定されるのだが現在はルール
が無いゆえにトラブルも絶えないらしい。

そこでルールづくりに着手しようということなのだが少し気になることがある。単に正規宿泊施設を
短期的に補うためだけのルールであれば、世界景気の変動などによって需要が急激に落ち込んだ
ときに民泊は使命を失うことになってしまうのではないか。たとえ当初は補完を目的とするにしても
民泊本来の特性を生かした展開、例をあげるなら草の根レベルでの国際交流などしっかりとした
ポリシーを付与すべきではないだろうか。