八神社を右に曲がると駐車場の敷地の中を登り坂で進みます。
少し荒れた雰囲気がしますがやがて右側に小さな砂防ダムが
現れ、そこを橋で渡るといよいよ本格的な登山道となります。

やがて道は疎林の中に吸い込まれ、今頃の季節だと清々しい
新緑の中を登ります。それほどの急坂ではありませんが汗が
吹き出ることでしょう。ふだんあまり歩くことのない人は
息が切れるかもしれません。この林間の登りがゆっくりペース
で20分くらいでしょうか。我慢して登り続けていると、やがて
これでもか、と言わんばかりに長い長い石段が現れます。少し
のけ反りそうになりますが実はここが最後の試練の場なのです。
ちなみにこの石段脇の木々の上にはワイヤーが張られています。
これは毎年8月16日の五山送り火の際、松明や薪などの資材を運搬
するために設けられているもので、いわばリフトですね。

この石段を登りきるとやがて視界が大きく開けて、大文字の交点の
脇にヒョッコリと出るわけです。標高はおよそ300メートル、
銀閣寺山門からだと所要時間は約30分です。少しキツイところも
ありましたが、ここから見える京都市内の眺望は登って来た甲斐が
ある素晴らしいもの。

向かって左(南)側から京都駅の大きなビル、京都タワー、東西の
本願寺から四条あたりの賑わいと鴨川。そしていくつかある大きな
緑の塊りが二条城や京都御所、そして吉田山や大徳寺であることが
わかります。また五山送り火の他の四山、すなわち「松ヶ崎妙法」
「舟形」「左大文字」「鳥居形」のうち「鳥居形」以外はこの大文字山
から見えるので探してみるのも面白いかも知れません。

足元の大の字を見ると石組の火床が並んでおり、送り火当日には
全部で75基ある火床の上に井桁に組んだ薪が置かれ、20時に
次々と松明から点火されます。尚、大の字の横棒が80メートル、
左の払いが160メートル、右の払いが120メートルの長さとの
こと。当日も今のルートで登れるなら面白いのですが、残念ながら
現在は関係者以外は立ち入り禁止になるようです。

ずいぶんと昔の話しですが、京都大学の学生たちが悪戯
ごころを起こし、当日懐中電灯を携えて登り、大の字の
向かって右上に斜めに並んで懐中電灯を点灯。大文字ならぬ
犬文字にした、という笑える伝説もあります。

でもこの場所で目を瞑って8月16日の夜を想像してみると
少し敬虔な気持ちになると思います。盂蘭盆会の最後の夕、
嵯峨野の奥にある化野念仏寺では千灯供養も行われています。
それだけに宿が取りにくい、という事情はありますが、そこは
サンビクトリーにお任せ下さい。ピーチのフライトと併せて
お手配させていただきます!

この大文字までのルートは他にもありますので、違う経路を、
例えば法然院の方に降りることもできます。まあ元来た道を
戻って、やっぱり銀閣寺に寄ってみるのも一興ですね。

また、もしお腹がすいていれば、ぜひ「おめん」にお立ちより
下さい。上品なうどんと京野菜を味わうことができます。