近畿圏の周縁にあるため古くから知られた温泉で、日本三古湯(他は
有馬と道後)に数えられる。往古には「牟婁(むろ)の湯」と呼ばれ
ており、日本書紀に斉明天皇が658年に訪れたとの記載がある。

泉質は塩化物泉、炭酸水素泉。現在の白浜温泉は美しい白砂の渚で
名高い白良浜を中心に多くの宿泊施設や温泉施設が集中して立地して
いる。白良浜の白砂はケイ酸の含有率が90%以上とのことで、かつては
硝子の原材料として国内各地に移出された歴史を持つ。日本各地に白浜
という地名があるが、単に白浜と言えばここを指すことが多い。それは多分
この白砂の海岸に負うところが多いのだろう。

一般的に温泉の湧出地というのは火山の周辺に見られることが多い。しかし
ここ白浜の場合付近に火山はなく、長年謎とされていた。しかし近年の研究で
ここの温泉は太平洋から日本列島に潜り込んだプレートから浸み出す高温の
地下水が滞留したものである、ということがわかってきた。しかしプレート
と聞けば地震を連想するのが日本人の習性だ。やはり自然がもたらす恵みと
災いは表裏一体ということなのだろうか。

白浜の周辺には古くからの景勝地である千畳敷、円月島、三段壁があり、
加えて白浜アドベンチャーワールド、海中展望塔などの観光施設
がほど良く配置されている。

また白浜には宿泊設備を持たない「共同浴場」と呼ばれる外湯が六ヶ所
あり、温泉地としての魅力に幅を与えている。