筆者の少年時代、実業之日本社から出版されていた旅行ガイド
シリーズである「ブルーガイド」に『信州高原列車の旅』という
一冊がありました。当時まだ国鉄だった小海線の沿線を訪ね歩く
ガイドブックで小淵沢から清里、野辺山の八ヶ岳山麓地帯や佐久
地方などがカバーされていました。不思議なことに先ずこの書名
に魅かれました。高原を列車が走るんだ、とそれがどんな光景な
のか想像をしようとしたのですが、まだ中学生だった自分には
高原を具体的にイメージすることが出来ませんでした。そして
高校生になり、新聞配達のアルバイトで貯めたお金を旅費にして、
このガイドブックを手に長野県を旅したのです。私にとっては
初めてのひとり旅でした。

まあ、そんな個人的なことをあれこれ書いても仕方がありません
ね。でもあれから40年以上の歳月が流れてしまいましたが
小海線の沿線は今も変わることのない魅力を湛えていると
思います。そしてこの地域にぜひお知らせしたい観光スポットが
あるのです。その名も「清里テラス」。地理的には信州(長野県)
ではなく山梨県になりますが、なんと標高1,900メートルという、
ふつうなら登山者しか訪れることが出来ないような場所で、ソファ
に寝そべってゆったりすることが出来る施設なのです。

実はここ冬にはサンメドウズ清里というスキー場として営業して
いるのですが、夏にもリフトを稼働させて、暑苦しい都会から
脱出してきた人々を涼しげな別天地へ導いてくれるのです。

リフトを降りるとそこにはソファーが沢山用意されていて、思い
思いのソファーに陣取ってのーんびりすることが出来ます、
そしてココが大切なところなのですが、このソファーのクッション
部分に注目して下さい。よくある堅い木製や冷たいプラスチック
ではないのです。嬉しいことに布製の、いわば室内で使うような
カウチっぽいソファなのです。なんだかヨーロッパのリゾートの
気分です。雨降ったらどうするの?という素朴な疑問もありますが
それはその時なのでしょう。

晴れていれば、目の前に広がる清里高原や南アルプスの一大パノラマは
素晴らしいの一語に尽きます。そしてそう、王者富士山だって
ドーンと見えるのです。

施設内の「清里カフェ」では山梨フルーツスペシャルや謎の
フランスパンアイスなど、絶対に他では味わえないスイーツが
メニューに並んでいます。

首都圏から、また羽田づかいの地域からなら中央高速の長坂イン
ターから20ほどの場所、という非常に便利な立地なのですが、
日時によっては中央高速の渋滞という難所があります。
JALフジドリームが就航している松本空港への路線がある札幌、
福岡、伊丹(8月のみ)からはそんな中央高速を少しでも
避けるべく松本発着にすべきでしょう。この空港を起点にした
レンタカーでの信州周遊の旅の中で清里を訪れてみるのも一案かと
思います。