LCCの機内誌に観光特集の企画記事を掲載したところ来訪する
外国人客が増加した、と言う興味深いデータが発表されました。

栃木市産業振興部観光振興課は今年の3月から5月の三ヶ月間、
ピーチ・アビエーション、ジェットスタージャパン、バニラエア
のLCC3社の機内誌に栃木市観光特集を掲載しました。その結果
期間中に栃木駅(JR両毛線・東武日光線)観光案内所を利用した
外国人が3月は308%増(53人),4月は189%増(127人),5月は
32%増(171人)となり、予想以上の成果を上げたとのことです。
元々の分母が小さな数字ですので、正直それほど喜ぶべき数字な
のか、とも思いますが、まあ栃木市という観光的にはかなり地味
な場所を対象にしていますので素直に応援したいと思います。

機内誌の記事では和菓子作り体験や、蔵の街遊覧船など栃木市を
代表する観光スポットの訪問ルポ、割引サービスや英語での案内
が受けられる「外国人観光客1日市民パスポート」の紹介などを
中国語、韓国語、英語で掲載しました。また東京からのアクセス
として東武鉄道の紹介記事も載せています。なぜLCC機内誌で
成果を得ることができたのか、という調査では面白い分析が行われて
います。それはLCC(国内線)では他にエンタティメントと呼べる
ようなサービスがなく、乗客は否応なしに機内誌をじっくりと読む
しかないのでは、というもの。またLCCの乗客はその日の気分や
天候によって旅先を自由に、柔軟に決める傾向があるので記事を
読んだあと到着空港から直接栃木市に向かった人もいたのでは
ないか、との推察もなされているようです。

 ひとこと付け加えるなら、LCCの機内誌はけっこうユニークで
尖鋭的な記事が多いのをご存知でしょうか。大手航空会社の機内誌
には見られないサブカルチャー的な匂いもします。例えば飲食店
やライブハウスの紹介などでは、地元の人間でさえ聞いたことも
ないような超穴場的な店が取り上げられたりしています。多分
航空会社とは関係のないベンチャー的な編集プロダクションの
手になるものでは、と思えますがぜひ一度真剣に読んでみて
下さい。

ところでそんな機内誌の記事でブレークしそうな栃木市
ってどんな町なのでしょうか。江戸時代には巴波(うずま)川を利用
した江戸との舟運で栄える一方、朝廷から日光東照宮へ派遣される
例弊使の宿場町としても繁栄を誇りました。戦災を免れたため歴史的な
寺院や江戸期から明治にかけての蔵や商家の町並み、石畳の道
などがが残されていて、巴波川水路と相俟って独特の景観をつくり
あげています。